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Bourgeois DS-260 [Luthier]

DSと言えば,ニンテンドーを連想します。
しかし今回のDSはDana Bourgeoisのギターです。

発音が難しいです。
聞く通りに書くと「デーナ・ボジョゥワー」ですが日本では「ダナ・ボジョワー」と表記されてます。
フランス系移民なんでしょうか?

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ボジョワーは,ショーンバーグやポールリードスミスでの仕事が有名です。
2004年には受賞もあったので知っている人は多いと思います。
が,日本ではまだ正当な評価がされていないような気がします。

ネックがボルト・オン
塗装がラッカーのみでない
塗装に白濁が出る
地味,などなど。

コリングスもボルトオンネックだし
ラリビーやマーティンだってラッカーのみの塗装じゃない。

木が安定するのに10年以上かかるとすれば,ギターはその都度修正しながら使うので,ボルト・オン・ネックは理想的と思います。

また,氷点下に達する時間が長い環境ではラッカーは割れてしまうので,ポートランドのような寒いところではラッカーのみはキツイでしょう。ある楽器屋さんの話だと,北海道のお客さんがマーティンを買って一冬越したら塗装がバリバリに割れてリペアに来たそうです。

塗装の話をしてしまうと長い話になります。
私はラッカーの良さは全肯定します。
が「ラッカー以外は認めない」という意見には反対です。

このDS-260ですが,マーティンのD-28Sを基本にしたモデルじゃないでしょうか?
12Fジョイント,スロッテッド・ヘッド,トップはスプルース,サイド&バックはインディアン・ローズウッドです。

これでトップにアディロンダックを使ったモデルもあったそうです。
ちなみにブレイシングにはアディロンダックを使っているそうです。

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音の方は,一言でいえば外見どおり「美しい音」です。
以前にレコードで聞いたことのあるようなデジャヴな音。

インタビューによればボジョワーギターは「現代の素材を使って昔(戦前のマーティン)の音が出るような設計」「サンタクルーズとコリングスの中間の音」だそうです。

私には違いがよく分かりません。
DSは「儚い」と思うくらいに柔らかく美しい音です。
12F&イングルマン&スロットヘッドによるのでしょうか。
でも強く弾いてもびくともしない強さも感じます。
まだ弾き込まれてないので「若さ」も感じもします。

それからルシアー物だけに音に個性があると思います。
楽器屋でOMカッタウエイも弾かせてもらいました。
何となく軽い印象やボジョワー的なタッチと音がします。
そこに好き嫌いが分かれるかも知れません。

12Fジョイントのギターについては面白い企画(ギター弾き比べ)がアコースティック・ギター・ブック6に出ています。
DS-260も出てますしコリングス0002Hも出てます。

最後にこのギターは正規輸入品ではないんです。
アメリカのバイヤーがアメリカで買い付けてきたものを買ったんです。
そうするとリペアが心配ですが,ある楽器屋にリペアを約束してもらいました。
楽器は生きた道具ですから,必ず修理屋さんと仲良くすべきです。

そう言えばギター修理にハマっているマジシャンMさん。
「ギター職人じゃ食っていけない」と言わずリペア屋になってくれるとありがたいんですけどね。

小川町のルシアー物(その2) [Luthier]

アコギ関係の「隠れた名著」と思われるのが,この本です。 各店主の意見やお薦めが,写真・コメント付きで出ているところが秀逸です。 私も一時期この本の虜になって,毎晩のように読んでいました。 ルシアーの最高峰「ソモギ」「グレーベン」を一歩深く知ったのもこの本でした。
ところで,この本の影響からルシアー物に会いたくて,お茶の水まで行きました。 そして,ついに小川町のB店に行きました。 B店に入って感動しました。 想像したとおりにルシアー物が山盛りでした。 本物の「フランクリン」「メレル」初めて見ました。 もう絶滅したと思われた「バスカリーノ」にも対面です。 それより感動したのは,店主さんです。 某外車ディーラーみたいに「貧乏人は触るな」と言わんばかりの対応かもと思っていたところ,何と「気になるものがあったら,いつでも声をかけてくださいね」等と優しい言葉をおかけになる腰の低い態度です。 これで気持ちが大きくなっちゃって,リンダ・マンザーなんか試奏させてもらって,「いいですね」なんて分かったような口きいてしまいました。
ただ,ルシアー目当てで行ってのに,結局,触ったりしたのは1959年のJ-45とか,プリ・ウォーのマーティンだったりします。 で店員さんに「マンザーよりこっちのJ-45がいいですね」ってコメントしたら,「お客さんの好みはこっちなんですね〜」なんて感じで,あくまで押し付けのない態度にまた感動でした。 何度も通って1本買って行く店,リピーターの多い店って話も十分うなずける素敵な店でした。
ただ…ここじゃないんですよ,私がルシアー買った店。

一生モノのアコギを探す―こだわりの店主がいる全国アコギ専門ショップ紀行 (リットーミュージック・ムック (第85号))


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小川町のルシアー物(その1) [Luthier]

ルシアー。 これを知っていればギター中級者でしょう。
Luthier。 英辞郎によれば「弦楽器製作者」となっています。 一般に大手メーカー物に対して個人のギター製作者およびその楽器をこのように呼びます(但し,大手でもマスター・ルシアーという呼び名はあるようです)。 あるマーティン好きの人は「マーティンを昇り詰めるとルシアーに行く」という格言(?)めいた事を言われましたが,必ずしもそうではないでしょう。 本当のマーティン好きにとってマーティンは神であり信仰対象なので別格だと思いますが,そうでもない人にとっては,ルシアーは一つの選択肢でありチャレンジですね。
但し,そのチャレンジは,もうバンジージャンプです。 クセがあって,値段も高くて。 そんなエクスペンシブなチャレンジをして,相性が合わなかったら最悪です。 二度と立ち上がれないほど地面に叩きつけられるような思いをすることでしょう。
しかし,ギターに調整は付き物です。 きちんと調整すれば,あら不思議。 あんなペンペン・モコモコ・カッペ状態のルシアーも,一気に藤原紀香か鈴木京香です。 そんなすごい嫁さんもらってどうするの?って感じです。 とりあえず早々に嫁さんのもとに帰宅するようになるんでしょうか。 ともかくルシアー物は,個性と可能性と実力を秘めたギターなのです。
私もルシアー物はかなり好きです。
一時期は,毎日ある本を見ては,空想の中でルシアー物と遊ぶという毎日を送っていた頃がありました。 その頃は,もう本物が見たくて見たくて,しょうがなくて,仕事ついでに(ついで仕事に,というのが正確な状態か?)お茶の水に寄ったりしました。 正直言って,お茶の水はギター好き・古本好きにとって魔界です。 一旦,足を踏み入れたら,相当な自覚と決意がなければなかなか出られません。 古くはオデュッセウスが,かみさんに「もう帰るよ」と言いつつ,家に帰るまで10年かかっちゃって,かみさんに「いや,カリプソに誘惑されちゃって」とか言い訳している状態とよく似た情景見えます。
次回は小川町で訪問したお店の話をします。


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