黒船襲来!アダマス [その他のguitar]
友人のニタミンのアダマス2です。
存在感抜群の典型的なオベーションですね。
音はやっぱりオベーションの音です。
カバーディル・ペイジの曲なんか弾くとそのまんまの音です。
僕の記憶だと,オベーションは1970年代後半ころから日本のプロが使い始めたように思います。
当時,子どもだった僕たちは,プロがオベーションを弾いている写真を雑誌で見て,かなり衝撃を受けました。
だって,当時ギターと言えば木製で木の色がして当然なのに,トップは青くてプラスチックぽいし(カーボンファイバーとバーチのラミネートだと後で知りました),サイドからバックにかけては丸くてプラスチックっぽい感じです。
サウンドホールは通常真ん中に一つなのに,フレット周りにいくつも空いています。
もう,既成観念に囚われた凡人の理解を超えており,何だか自分が黒船襲来時の江戸町民になったような感じです。
「ライブで使いやすいらしい」
「雨に濡れても平気らしい」
「かなり高いらしい」などなど。
色々情報が飛び交い,議論したあげく,僕ら子どもたちは「これはエレキだ」という結論に達したのでした。
なぜなら「ギターにマイクがしこんであって,大きな音がスピーカーから出る」からです。
アルフィーの高見沢先生もいつかテレビで言ってましたが,昔は今日でいう「エレアコ」という物は存在しなかったんですね。
だから,エレキかアコギかという二者択一の世界では「オベーションはエレキ」という当時の子ども達の判断も,決して誤りではなかったと思います。
それから80年代はオベーション大増殖時代でした。
やっぱり「ライブで使いやすい」というのと,あの独特の音色が大きかったんだと思いますが,日本ではほとんどのプロが使ってました。
海外でもアル・ディ・メオラをはじめ,マイケル・シェンカーまで白黒に塗り分けたオベーションを使ってましたね。
その反面,80年代は,他の生ギターメーカーには悪夢のような時代だったと思います。
あのマーティンでさえも売上が激減して大リストラをやってたんですから,今では考えられない状況です。
そう思うと,オベーションは生ギター界の黒船でもあったんでしょうか?
僕も昔,オベーション使ってた時期がありました。
昔,日本製のオベーション・ブランド「ピナクル」というシリーズがあったんです(今は全く見ませんね)。
そのピナクル・シリーズの1本を吉祥寺で買ったんです。
トップがフレイム・メイプルの美しいやつだったんですが,ネックに問題があって,メーカーに修理に出したんです。
ところが,なぜか修理不能だったようで,全く別のトラ目の新品が返ってきました。
それから,ちょっとケチがついちゃって,今は弟が弾いてます。
スーパー・アダマス持ってる人にその話をしたところ,やはりその人の個体にもネックに問題が発生してネックを交換したとのことでした。
リラコードのボディと木製ネックのバランスの問題だと思うのですが,現在はかなり改善されているようです。
ちなみに,このアダマス2は5層ラミネート・ネックですから,問題なさそうですね。
やっぱり,オベーションはアコギではないと思います。
でも巷のエレアコとも違います。
やっぱりオベーションは「オベーション」でしょう。
子どもの頃に受けたオベーション・ショック世代にとって,オベーションは一つの分野を確立したギター界の黒船楽器と言うべきではないでしょうか。
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